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男性がおしっこをする時に痛みがある場合に考えられる疾患

  1. 前立腺炎
  2. 尿道炎(クラミジア性尿道炎、淋菌性尿道炎など)
  3. その他

1.前立腺炎

男性でおしっこをする時に痛みを起こす病気の1つに前立腺炎があります。前立腺炎は尿道から侵入した細菌によって起こる細菌性前立腺炎と、細菌感染は関係しない非細菌性前立腺炎があり、いずれも排尿時痛以外に、頻尿、会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)や下腹部の不快感や痛みなど多彩な症状があります。

急性前立腺炎

急性前立腺炎は前立腺全体に細菌が感染することで起こります。敗血症という致命的な状態につながる可能性があるため、迅速な治療が必要です。急性細菌性前立腺炎の明確な機序は未解明ですが、最も可能性があるのは感染した尿の前立腺への逆流と考えられています。

【症状】

38℃以上の発熱、排尿痛、排尿困難、頻尿、会陰部痛、会陰部不快感などが主な症状です。時に尿閉(尿がいきんでも出なくなる状態)になることもあります。

【検査】

尿検査、採血、身体診察所見等をもとに診断します。

【治療】

抗生物質による治療が必要になります。発熱などの症状は治療開始から数日で改善しはじめますが、完治するまでしっかり治療をしないと耐性菌ができて治療が困難になることがあります。炎症が強い場合や全身状態が悪い場合は、入院治療が必要になりますので、そのような場合は入院可能な医療機関をご紹介して治療を受けていただけるようにしています。

発熱を伴う排尿時痛がある場合は、すぐに泌尿器科を受診してください。適切に治療を行わないと敗血症に移行して危険な状態に陥る場合があります。

非細菌性前立腺炎

非細菌性前立腺炎の原因は明らかではありませんが、前立腺に慢性の炎症が起こる病気です。長時間のデスクワーク、乗り物移動、運転など、前立腺への振動や接触などの刺激が関連する場合があります。

【症状】
  • なんとなく下腹部に違和感がある
  • 股の付け根や陰嚢の裏側のあたりに違和感や不快感、痛みがある
  • 排尿時や射精時に不快感や痛みがある
  • おしりのあたりが落ち着かない
  • 睾丸やペニスに不快感がある

原因は未解明ですが、前立腺に炎症が生じて下腹部から下半身にかけて様々な症状が現れるのが特徴です。

【治療】

薬物療法として、前立腺の炎症を抑える薬剤や鎮痛剤、漢方薬、抗生物質などを処方します。高圧排尿(おしっこが出しにくい状態)の場合は、α1ブロッカー(尿道の緊張をゆるめておしっこを出しやすくする薬剤)を用います。その他、生活習慣指導や、前立腺マッサージなどが有効な場合もあります。慢性炎症の場合は治りにくく、再発や悪化を繰り返すことがあるため、根気強い治療が必要です。

2.尿道炎

細菌感染や尿道の粘膜に傷がついたことが原因で起こります。おしっこの出始めに痛む場合は、クラミジア性尿道炎、淋菌性尿道炎などの性感染症が原因であることがあるので注意が必要です。

淋菌性尿道炎

【症状】

膿が黄色や白色で、排尿時に焼けつくような痛みやかゆみ、不快感、尿の出口が赤く腫れる、頻尿などの症状がある場合は淋菌性尿道炎のことが多いです。治療が遅れて精巣上体に感染すると精巣上体炎を起こすことがあり、発熱、陰囊腫大が起こり、激しい痛みを伴う場合は入院が必要になります。

【検査】

尿や尿道分泌物のPCR検査を行います。約20-30%にクラミジアが重複感染しているので、クラミジアの検査も同時に行います。

【治療】

現在、内服薬で淋菌感染に高い治療効果が期待できる薬剤はありませんので、点滴治療が必要です。

クラミジア性尿道炎

【症状】

膿が透明で、無症状か痛みがあっても軽度か違和感程度のことが多いです。その他、ペニスのかゆみ、不快感などの症状が出る場合もあります。

【検査】

尿や尿道分泌物のPCR検査を行います。

【治療】

アジスロマイシンやシタフロキサシンなどの内服抗生剤で加療を行います。必ず2~3週間後にもう一度クラミジア検査を行い、治癒したかを確認する必要があります。

尿道炎は放置すると尿道狭窄となることが多く、おしっこを出すのに支障をきたすようになるため、早めの受診をお勧めします。

3.その他

尿道結石、膀胱・尿道の悪性腫瘍などの疾患が排尿時痛の原因となることもあります。長期間症状の改善がみられない場合には受診をご検討ください。

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