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腎盂・尿管の主な病気

  1. 腎盂・尿管がん
  2. 急性腎盂腎炎
  3. 尿管結石


1.腎盂・尿管がん

腎盂・尿管がんは腎臓で生成された尿の通り道である腎盂や尿管内に発生する悪性腫瘍で、組織は膀胱がんと同じ尿路上皮がんが主となります。腎盂・尿管がんの発生頻度は10万あたり約0.5人で、女性よりも男性に多い傾向があります。血尿を契機に見つかることや、無症状ながら人間ドックの超音波検査の結果見つかることがあります。

【検査】

検尿、尿細胞診検査、CT検査、MRI検査などの検査を行い診断します。膀胱にがんが併発する場合があるため膀胱鏡検査を行うこともあります。これらの検査でも診断がつかない時は尿管鏡検査を行う場合があります。尿管鏡検査は麻酔をかけて尿管に細い内視鏡を入れて直接尿管内を観察し、腫瘍の生検まで行う検査ですが、入院が必要になります。当院では尿管鏡検査は施行できませんので、尿管鏡検査が必要な場合は、施行可能な病院にご紹介させていただきます。

【治療】

転移のない腎盂・尿管がんの場合は外科的治療(手術)が主体となります。尿管下端部を残すと、残した尿管にがんが発生しやすいことを考慮して、がんが発生した片側の腎臓、尿管、さらに膀胱壁の一部も含めた腎尿管全摘、膀胱部分切除を施行するのが一般的です。腹腔鏡下手術を行うことが多くなっています。転移がある場合は、抗がん剤による治療が必要になります。

2.急性腎盂腎炎

尿道から入ってきた細菌が膀胱や尿管を通じて腎盂で炎症を起こしている状態です。女性にだけ起こる病気ではありませんが、圧倒的に女性に多い病気です。大腸菌だけでなく、ブドウ球菌や緑膿菌などによって起こるケースもあります。

【症状】

38℃以上の発熱、食欲不振や全身のだるさ、腰や背中の痛みを起こすことがあります。頻尿や残尿感、排尿時痛などの膀胱炎症状を伴うことがあります。

【診察】

まず問診で症状を確認し、体温測定、背中の叩打痛(軽く叩いただけで背中が痛むかどうか)の有無を確認します。

【検査】

尿検査で尿中の白血球、細菌の有無を確認します。血液検査では炎症所見の有無を確認します。必要に応じてエコー検査、CT検査などを行うことがあります。

【治療】

抗生物質の点滴や内服治療を行います。症状が悪化している場合は入院治療が必要ですから、連携している医療機関にご紹介してスムーズに治療を受けられるようにします。

3.尿管結石

尿路結石は、尿路(腎臓~尿管~膀胱~尿道)に結石が存在する病気のことをいいます。男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯に経験するといわれています。食生活の欧米化などが原因で、年々尿路結石にかかる人の数は増加傾向です。尿中の物質がなんらかの原因によって腎で結晶化し、それが核となり凝集、成長を繰り返して結石となります。上部尿路結石(腎結石、尿管結石)が全体の約96%を占め、食生活の欧米化等によりここ10年で急増しています。

結石の成分としてはシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムが多いですが、他にリン酸マグネシウムアンモニウム結石、尿酸結石、シスチン結石などがあります。

ここでは尿路結石のうち、尿管結石についてご説明します。

尿管は細いので、この位置に結石があると容易に尿の通過障害の原因となり、腎盂内圧が上昇することで突然の腰背部痛(疝痛発作)を引き起こします。時に嘔吐を伴います。腎機能障害の原因になることもあります。尿管結石が尿管と膀胱の接続部(尿管膀胱移行部)に到達すると結石が膀胱壁を直接刺激するために頻尿、排尿時痛などの膀胱炎のような症状が出現します。

【検査】

頻尿以外に肉眼的血尿や腰背部痛(通常は片側)といった症状がないかも確認し、肋骨脊柱角叩打痛などの身体所見確認、検尿や血液検査および腹部超音波検査、CTなどの画像検査を行い、総合的に診断をおこないます。

【治療】

尿管結石が尿の通過障害の原因になれば、腎臓の内部(腎盂)に尿がたまった状態(水腎症)となり、疼痛や腎機能障害の原因となるため治療が必要となります。水腎症になると細菌が繁殖しやすくなり、腎盂腎炎や敗血症をおこすことがあります。結石に水腎症、発熱を伴う場合は、早急な処置(ドレナージ)を要しますので、すぐに対応可能な病院へとご紹介させていただきます。

感染を伴わない10ミリ以下の結石に対しては、結石による痛みを鎮痛剤でコントロールしつつ、水分摂取の励行や排石を促進する薬によって自然排石を期待する保存的治療を行います。症状発現後1か月以内に自然排石を認めない場合は、積極的な治療(手術)も検討します。

10ミリ以上の結石に対しては自然排石の可能性が低いため手術を検討します。手術が必要な場合は、結石破砕術が可能な病院にご紹介させていただきます。

(手術)

① 経尿道的結石破砕術(TUL)

外尿道口から結石の直下まで内視鏡を挿入し、体内式衝撃波結石破砕装置(リトクラスト)やレーザーを用いて結石を破砕します。

② 体外衝撃波砕石術(ESWL)

長期間排石しない10ミリ以下の結石がよい適応となります。透視下に結石が確認できれば結石に焦点をしぼって体外から衝撃波をあてて破砕します。細かくなった破砕片は尿と一緒に排出されます。

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