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これって性病?

ここではいわゆる性病(性感染症)について解説します。気になる症状がございましたらご相談ください。

性器にとても痛い水ぶくれができました…

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(HSV)1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染によって、性器に浅い潰瘍性または水疱性病変を形成する性感染症です。
HSV-1は口唇に感染して口唇ヘルペスの原因になるウイルスですが、オーラルセックスで性器にも感染します。
HSV-2は性器のみに感染するウイルスで、性行為により感染します。

HSVに初めて感染(初感染)してもすぐに症状が出るとは限りません。
初めて症状が出た場合を「初発」といい区別しています。
初感染で症状が初発の場合は「初感染初発」、初感染した時には無症状なものの、その後免疫能が低下した場合に初感染後潜伏していたHSVが再活性化して症状が初めて出現した場合を「非初感染初発」と呼びます。
初発の後、症状の出現が繰り返される場合は、「再発」と呼びます。

性器ヘルペスの症状
男性の場合

①初感染初発
感染して症状が出るまでの期間は2~10日間です。
ペニスに違和感をともなう1~2ミリの複数の水ぶくれが出現し、数日後に水ぶくれが破れて強い痛みを伴う潰瘍になります。
病変は亀頭や陰茎体部に多くみられます。
症状は1週間ぐらいで最も重症化し、高熱が出たり、足の付け根のリンパ節が腫れたり、排尿時痛を伴うこともあります。
同性愛者のアナルセックスでは、肛門周囲や直腸粘膜にも病変が出現します。

②非初感染初発
初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治癒までの期間も短いですが、免疫不全者や高齢者では症状が重い場合があります。

③再発の場合
疲労や風邪など、免疫が低下したときに再発します。
再発時には初感染時とほぼ同じ部位に水ぶくれや潰瘍を形成しますが、症状は軽く、多くは1週間以内に自然治癒します。

女性の場合

①初感染初発
性的接触の後、2~10日の潜伏期間をおいて、比較的急に発症します。
外陰部に水ぶくれや潰瘍ができ、強い痛みを伴います。
症状は男性よりも強いことが多いです。
重症の場合は子宮や膀胱にまで炎症が及びます。
重症の場合は高熱が出たり、足の付け根のリンパ節がひどく腫れたり、痛みにより歩行や排尿が困難になることもあります。
2~3週間で自然治癒しますが、抗ヘルペスウイルス薬を投与することで1~2週間で治癒します。

②非初感染初発
初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治癒までの期間も短いですが、免疫不全者や高齢者では症状が重い場合があります。

③再発の場合
再発時の症状は軽く、性器や臀部、大腿部に小さい水ぶくれや潰瘍を1~数個形成する程度で済むことが多いです。
多くは抗ウイルス薬の投与なしで1週間以内に治癒しますが、時に10日以上に及ぶこともあります。

性器ヘルペスの治療
(1)初感染時

パラシクロビル1回500mg 1日2回内服 10日間
(※重症例では入院のうえ点滴治療が必要になります。そのような場合は治療可能な病院へご紹介させていただきます。)

(2)再発抑制療法

おおむね年に6回以上の再発を繰り返す患者さんが対象になります。
パラシクロビル 500mg(1錠)を1日1回継続して内服します。
1か月おきに受診していただき、再発の状態や副作用を確認し、薬を継続するか中止するか増量するかを判断します。

ペニスの先から膿が出ます…

尿道炎

尿道への細菌感染や尿道の粘膜に傷がついたことが原因で起こります。
おしっこの出始めに痛む場合は、淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎などの性感染症が原因であることがあるので注意が必要です。

(1)淋菌性尿道炎

淋病という名称で古くから知られている代表的な性感染症です。
1回のコンドームなしの性行為で30%前後の感染確率があります。
感染後2日から7日前後の潜伏期間を経て発症します。

症状

男性の場合
黄色や白色の膿が尿道から出て、排尿時に焼けつくような痛みやかゆみ、不快感、尿の出口が赤く腫れる、頻尿などの症状が出ます。
治療が遅れて精巣上体に感染すると精巣上体炎を起こすことがあり、発熱、陰嚢腫大が起こり激しい痛みを伴う場合は入院が必要になります。

女性の場合
ほとんど無症状ですが、おりものの量が増えたり、黄緑色のおりものが出たりする場合があります。
外陰部のかゆみや不正出血、頻尿・排尿時痛などの症状が出る場合もあります。

検査・診断

男性では尿や尿道分泌物、女性では子宮頚管擦過検体のPCR検査を行います。
約20-30%にクラミジアが重複感染しているので、クラミジアの検査も同時に行います。

治療

現在、内服薬で淋菌感染症に高い治療効果が期待できる薬剤はありませんので、点滴治療が必要です。

(2)クラミジア性尿道炎(性器クラミジア感染症)

クラミジア感染症は日本で最も多い性感染症で、性行為などによって感染します。
性器だけではなく、オーラルセックスによって口やのどにも感染する場合があります。
感染した場合、クラミジア性尿道炎(男性)、クラミジア性子宮頚管炎(女性)、咽頭クラミジア(男性・女性)などの病気を引き起こします。
感染してから症状が出るまでの期間は1~3週間です。

症状

男性の場合
膿が透明で、無症状か痛みがあっても軽度か違和感程度のことが多いです。
その他、ペニスのかゆみ、不快感などの症状が出る場合もあります。

女性の場合
ほとんど無症状ですが、おりものが少し増えた、外陰部がかゆい、頻尿、排尿時痛などの症状がでることがあります。
放置すると腹膜炎・不妊症の原因になることがあります。
妊婦では産道感染で、赤ちゃんが新生児結膜炎、新生児肺炎になることがあります。

男女とも、咽頭感染の場合はほとんど無症状ですが、女性の場合膣からクラミジアが検出された場合、10~20%は咽頭からも検出されます。

検査・診断

男性では尿や尿道分泌物、女性では子宮頚管擦過検体のPCR検査を行います。
咽頭:咽頭擦過検体やうがい液を検査します。
女性の場合は、淋菌との同時検査および咽頭検査の施行をお勧めします。

治療

アジスロマイシンやシタフロキサシンなどの内服抗生剤で加療を行います。
必ず2~3週間後にもう一度クラミジア検査を行い、治癒したかを確認する必要があります。

(3)マイコプラズマ、ウレアプラズマ感染症

男子尿道炎の原因として増加しており、淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎患者さんはマイコプラズマもしくはウレアプラズマ感染症の可能性があります。
検査は保険適用外のため、自費検査になります。

尿道炎は放置すると尿道狭窄となることが多く、おしっこを出すのに支障をきたすようになるため、早めの受診をお勧めします。

陰部に無痛性のしこりが出来たけど自然に消えました…

梅毒

梅毒トレポネーマという病原菌が性的接触(セックス、オーラルセックス、アナルセックス、キスなど)によって感染する病気です。
病名は皮膚の赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。
感染後、経過した時間によって症状や病変が出現する場所が異なります。
早期の薬物治療で完治しますが、検査・治療が遅れた場合や、未治療で放置した場合は病気の進行により脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。
年間約11000人が報告された1967年以降、梅毒報告者数は減少傾向にありましたが、近年は急増傾向にあり、2021年の全国の梅毒報告者数は7873人(長崎県:40人)となっています。

症状

感染後の経過期間で症状の出現する場所や内容が異なります。

第1期(感染後約3週間)

感染初期には、感染が起こった部位(陰部、口唇、口腔内、肛門など)に無痛性のしこり(耳の軟骨ぐらいの硬さ)ができることがあります。
股の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。
無治療で症状は自然に軽快しますが、体内から病原菌が消えたわけではなく、他人にうつす危険性があります。
感染の可能性がある場合は、この時期に梅毒の検査が勧められます。

第2期(感染後数か月)

治療をせずに3ヶ月以上経過すると、全身の皮膚にピンク~赤色の発疹が出て、手のひら・足の裏にも真ん中がかさかさと乾いた直径数ミリ大の暗赤色の発疹が出てきたりします。
小さなバラの花に似ているため、「バラ疹(ばらしん)」と呼ばれています。
口の中の粘膜に白っぽい斑紋が見られることもあります。
これらの病変は治療をしなくても数週間以内に消える場合が多いのですが、決して梅毒が治ったわけではありません。
アレルギーや風疹、麻疹など、他の皮膚疾患に間違われることもあります。
この時期に適切に治療をしなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあります。

晩期顕性梅毒(感染後数年)

感染後、数年経過すると、皮膚、筋肉、骨、内臓などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。
腫瘍の表面が破れると潰瘍になることもあります。
そのまま放置するとゴム腫が周囲の組織を破壊していきます。
また、心臓・血管・脳などに病変が生じ、最悪の場合死に至ることもあります。

先天梅毒

妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。

検査・診断

診察(視診)と血液検査を行います。第1期の最初の数週間は抗体検査をしても陽性反応が出ないことがあるため、感染の可能性がある時期から十分な期間(約3週間)をおいて検査結果を確認する必要があります。
梅毒感染が判明した場合は、周囲で感染の可能性がある方(パートナーなど)も一緒に検査を行い、必要に応じて一緒に治療を行うことが重要です。

治療

抗生物質(ペニシリン)の内服で治療します。アレルギーなどでペニシリンが使用できない場合は、別の薬で治療を行います。
治療効果は血液検査で判定し、梅毒血清反応の数値が下がり安定化することを確認して治癒と判定し、治療を終了します。
治療期間は病期によって異なりますが、基本的には4週間内服、重症の場合は8週間程度の内服が必要です。
性交渉など、感染拡大につながる行為は、安全と判断されるまでは控えていただくようお願いします。
治療後は1年間の採血フォローが必要となります。

性器にイボができました…

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマの原因は、低リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)で、陰茎がんや子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVとは別の型のウイルスです。
HPVは、性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)により、皮膚や粘膜の傷口から感染します。

症状

低リスク型HPVに持続感染することにより、3週間~8か月(平均2.8ヶ月)で性器、尿道、肛門、膣などに鶏のトサカあるいはカリフラワーのような形のイボ(尖圭コンジローマ)が出現します。
複数個認めたり、巨大化したりすることもあります。
一般的に痛みはないですが、人によっては違和感やかゆみがある場合があります。

治療
外用薬

イミキモド5%クリームを1日おきに週3回患部に塗布し、6~10時間後に石鹸で洗い流します。
患者さんが扱いやすく、大きなイボにも適しており、治療の痕も残りにくいですが、治るまでに時間がかかるのが欠点です(消失するまでに、平均8週間程度要します)。

その他の治療

液体窒素による凍結療法、電気メスによる切除術がありますが、いずれも当クリニックでは行っていませんので、これらの治療が必要な場合はご紹介させていただきます。

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